G-TECHとは
FIAT500、アバルト好きの方ならG-TECH(ジーテック)という単語を最近よく目にするのではないでしょうか。まずG-TECHのことをご紹介しておきますと、G-TECHはドイツに本拠地を置くカーチューニング/パワーアップキット開発ブランドです。代表のHelmut Giessl氏は80年代に、ポルシェのチューニングとして知られるRUFAutomobileでチューナーとして学び、その後エンジン開発チームのチーフとして、ポルシェ初のエレクトロニックインジェクション装備(ポルシェ911ターボ3.3)の開発に携わりました。

そして、フェラーリやマセラティのチューニングメーカーのNovitecの前身である会社を共同経営した後、現在のAbarth、FiatのチューニングメーカーであるG-Tech Gmbhを立ち上げました。Helmut Giessl氏は今までの多くの経験を活かし、エンジンコンピューターのチューニングやオリジナルマフラーの製作、レースカーのプロトタイプの開発も行い、ヨーロッパでチューナーとしての不動の地位を確立しています。
About Sportster GT
ですので、よくこの写真の黄色いチョップトップアバルトのことが「G-TECH」と思われている方がいますが、G-TECHはブランド名であり、その中の1つのモデルとしてSportster GTがある、というわけです。

そのG-TECHのアバルト500をベースにし、ルーフの高さを100mm低くしたG-TECH Sportster GTに乗る機会を得ました。
このSportster GT、エンジンの最高出力はベースのアバルト500では135psなのに対しG-TECH独自のエンジンチューニングにより、224psにまで引き上げられています。エンジンだけでなく、エキゾーストシステム、ブレーキ、サスペンション、ホイール至るまでほぼ全ての箇所に手が入れられており、アバルト500をベースにほぼ1から作り変えられたG-TECHのコンプリートカーとなっています。

乗り込んでまず驚いたのは、乗車定員が4人乗りから2人乗りに変更されていて、運転席、助手席にはRecaro製のフルバケットシートが装備されていました。したがって後部座席は無く、屋根が低く、車高も低く、アバルトと並べて見るとかなり低く構えていて、シルエットからでは同じ車には見えません。それだけでかなりのスペシャル感があり、まずこの外観だけで「人と違った車が欲しい」とお考えの方にはおすすめの1台だと思います。
超刺激的&攻撃的な走り
さらにその走りもこの外見そのままのトンがりようで、相当刺激的というか衝撃的です。

エンジンスタートからかなりの咆哮ぶりであり、ボタン一つでエンジンの始動音と乾いたマフラー音があたりに響きわたります。この感覚、言うなればイタリアのスーパーカー系のエンジンスタート音と共通のものを感じました。走り始めるとさらにイタリアピュアスポーツの味付けに酔ってしまいます。引き締められた足回りは明らかに乗り心地よりも速く走ることを念頭に開発されたことがわかり、路面から伝わってくるインフォメーションは明確に状況を乗り手に伝えます。
また吸排気では切り替えスイッチ一つでマフラーを絞ることによるトルクとサウンドの調整ができるようになっており、低速域では締めてトルクを稼ぎだし、スピードに乗って来たらスイッチONで解放、加速とサウンドに酔い痴れることができます。

エンジンもこの小さく軽いボディに224馬力という過大とも言えるパワーを屠るとこうなるんだ!という直球勝負な主張がとても気持ち良く、その豪快さには運転していると笑顔を通り越して笑いが止まらなくなるほど。パワーとトルクの出方が急激で、いかにも「はい、ここからターボが利き始めます!」という分かり易い味付け。暴れ馬を自分の手で制御している、いわゆる「じゃじゃ馬」を飼い慣らしている快感。自分の手で運転しているダイレクトさはビンビンに伝わってきます。とにかくエンジンを回していたくなる1台であり、新しいピュアスポーツがアバルトをベースに誕生したと言っても過言では無いと感じました。
今回はガレージハウスG-Styleの撮影としても使わせていただきましたが、こんな車が格納されたガレージ、いいですよね。夢が膨らみます。
written by カーくる編集部